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特定技能ビザ(飲食料品製造業分野)を申請する際の注意点
2022.6.18
Q.スーパーマーケットのバックヤードで、飲食料品の製造・加工を行う場合、特定技能ビザ(飲食料品製造業分野)を申請して、ビザは取得できるのでしょうか?
農林水産省(特定技能協議会)の見解は、以下のようになっています。
【原則】 スーパーのバックヤードで製造・加工を行う場合には、飲食料品製造業分野の対象となりません。
スーパーマーケットそのものは、主要な経済活動が「小売業」であって、飲食料品の製造・加工は主要な経済活動はないためです。
しかし、例外的に、飲食料品製造業分野の対象となる場合があります。
【例外①】 飲食料品卸売業者及び飲食料品小売業者の専用工場(いわゆるプロセスセンター)や外食業事業者の集中調理施設(いわゆるセントラルキッチン)等の独立した事業所(つまり、スーパーマーケット等の小売店舗とは別の区画)で飲食料品の製造・加工を営む事業所は、飲食料品製造業分野の対象となります。したがって、協議会への加入及びビザの申請が可能です。
では、あくまでもスーパーのバックヤードで製造・加工するケースで、例外的に対象となる場合はあるのでしょうか。
【例外②】 仮にスーパーマーケットのバックヤードでの従事であったとしても、 別の法人が、そのバックヤードでの事業を経営しているような 場合には、それぞれが別の区画(別々の一事業所)と評価されるため、 飲食料品製造業として受入れ可能になります。 しかし、小売業等店舗内に、テナントとして店舗を構え、製造・販売をしている事業者は、販売相手が消費者ですから、小売業とみなされてしまい、特定技能外国人材の就労は認められません。
少々わかりづらいため、以下の画像をご覧ください。
左側の図では、AB間で請負契約を締結し、スーパーのバックヤードでの加工をB会社が行っています。したがって、Bは製造・加工したものをA社に販売している形になります。いわゆるBtoBの関係です。この場合は、就労OKとなります。
一方、右側の図においては、B社は、テナントの店舗としてA社と契約をしていますが、実際に販売を行うのは直接の顧客、つまりBtoCの関係という形になります。こうなると、右側の図においては、B者は、「小売業」が主要な業務であるため、対象外となってしまうのです。
左側の図は、スーパーのバックヤード、右側の図は、例えば、デパ地下の惣菜屋さんというイメージを持つとわかりやすいかと思います。スーパーに売っているのか、一般の消費者に売っているのかという点が、分かれ目になっていると言えます。
【例外③】 スーパーマーケット店舗の売上げの過半がバックヤードで製造・加工した飲食料品である場合。
これは稀有なケースです。例えば、本店の店舗が、近隣の系列店舗の販売分までバックヤードで製造するような場合です。しかし、これは、あまり現実的なパターンとは言えないでしょう。
以上からすると、
- スーパー経営会社が、(バックヤードにおいて)飲食料品の製造・加工を自社で行っている場合には、特定技能ビザでの就労は原則不可
- 例外的に、バックヤード内における製造・加工を別会社に委託している場合には、特定技能ビザでの就労可
- テナントにおける製造・加工は主要事業が小売業と評価されるため、特定技能ビザでの就労不可
と帰結されます。
これらは、農林水産省の公的見解です。単純に、飲食料品の製造・加工が業務であるならば、特定技能ビザの申請ができるというわけではありません。これらの要件を充たさないと、協議会への加入およびビザの申請ができないのが現実なのです。
就労の場所、状況によって、ビザ申請の可否が変わりますので、判断が難しいという場合には、専門家や関係機関に事前に相談されることをお勧めします。