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「特定技能」ビザとベトナム人
2022.6.19
出入国在留管理庁の令和4年3月時点での統計によると、「特定技能1号」での在留者の内訳は、以下のとおりとなっています。
・総数 64,730人 【国籍別】 1位 ベトナム 40,696人(62.9%) 2位 フィリピン 6,251人(9.7%) 3位 インドネシア 5,855人(9.0%)
圧倒的にベトナム人の方が多いのが現状です。
特手技能ビザの制度発足後、コロナの影響もあり、総数は、当初の想定よりもかなり少ない状況ですが、じわじわと特定技能で在留される方が増えているのは事実です。
特定技能ビザで在留しているベトナム人の比率が多いのは、そもそも技能実習生として来日している方が多く、技能実習生から特定技能への移行が進んだからと分析できます。
しかし、ここで特筆すべきは、外食業分野の総数の多さです。
外食業は、技能実習生からの移行ではなく、特定技能の試験合格及びN4以上に合格した方が取得されています。
弊所は、特定技能ビザ制度発足直後から、ベトナム人の方の外食業への就職に伴うビザ申請と登録支援機関としてのサポートを行っていますが、1,483人という数は、技能実習生からの移行がないという点からすると、かなりの数と言えます。
実際、弊所で依頼を受ける場合には、専門学校生(日本語学校を経由している場合がほとんど)で試験合格後に、特定技能ビザを申請したいケースが多いという印象を受けます。もともと飲食店でアルバイトをしていた関係で、そのまま就職したい(会社側としても仕事ぶりがわかっているので、正社員として雇用したい)というニーズが高いのもあるでしょう。
では、国籍はさておき、どのような地域において、特定技能ビザでの在留者が多いのか見てみましょう。
1位 愛知県 6,066人 2位 千葉県 3,879人 3位 埼玉県 3,741人 4位 茨城県 3,580人 5位 大阪府 3,538人 6位 神奈川県 3,202人 7位 東京都 3,054人
ニュース・報道においては、賃金が高いため、特定技能ビザの保有者は、都市部に集中していると言われています。たしかに、地方で就職したいというニーズは都市部に比べて、現状低いのも事実です。しかし、4位の茨城県に対し、東京都は7位です。果たして、報道されている分析は正確なのでしょうか?
ここを掘り下げてみると、4位の茨城県で最も多いのは、農業分野の従事者です。つまるところ、もともと技能実習生で農業に従事していた人たちが、そのまま特定技能ビザに移行したと考えられるわけです。
一方で、東京都は首都でありながら7位という状況です。これは、そもそも都内で技能実習をしていた人が少ないからという説明がつきます(つまり、上記のとおり、実習先で、そのまま特定技能ビザに変更するという傾向もあるということです)。
東京都における産業分野を見てみると、
1位 飲食料品製造業分野 789人 2位 介護分野 686人 3位 建設分野 664人 4位 外食業分野 609人
となっています。
あまりその数字に差はありません。
いわゆる地方と分類される地域に比べれば、たしかに都市圏に集中しているという傾向はあるのかもしれません。しかし、東京都の現状の産業別シェアに鑑みると、今後、都市圏においては、技能実習からの移行が想定されていない外食業分野の割合も伸びていくのではないかと考えられます。
いずれにしても、総数からすると、ベトナム人の方が、日本の産業に多大に寄与されているのは確固たる事実といえます。他の国籍の方も、非常に勤勉だという話を、会社経営者の方からおききすることが多々あります。
このような状況からすると、外国籍の方にフルタイムで仕事をしてもらいながら、日本人の労働者と切磋琢磨、共存していくという姿勢が求められていると言えるかもしれません。