03-5981-9885
お急ぎの方はお電話ください
技能実習制度見直しと特定技能ビザ
2022.8.14
ニュースにもなっていますが、技能実習制度については、前々からその見直しが議論されてきました。
弊所は特定技能ビザ申請及び登録支援機関としてのサポートを行っています。実感として、技能実習を良好に修了している方が、特定技能に移行するというパターンにおいて、問題が生じることはほぼありません。
一方で、
- そもそも低賃金で働かされている
- その他労務に関して法令が遵守されていない・パワハラ等が当たり前
- 給料未払いの時がある・よくわからない名目で給料から色々控除される
- 業務があまりに過酷で(低賃金・労務違反も相まって)、耐えきれなくなった
といった理由から、実習先から遁走し、どうしたらいいのかと相談に来られる方もいらっしゃいます。このような場合、日本に在留したまま特定技能へ変更できるケースは皆無と言えます。
技能実習制度は、日本で学んだ技術を本国に持ち帰り、本国の発展に寄与してもらう趣旨と、日本側の労働力の確保という本音の部分が混在します。
労働者側からすると、賃金が高い日本に出稼ぎに来るという部分があるのも事実ですが、送り出し機関や監理団体、就労先がビジネスライクに捉えすぎた結果、一定数このような状況が生じているのも厳然たる事実です。
もちろん、実習修了後、特定技能ビザへの変更申請を行えている部分もあり、ケースバイケースということにはなります。
要するに、技能実習制度そのものにも問題があるとはいえ、実際のところは、お金儲け・違法な形での賃金の削減としての観点のみで関わる業者が、劣悪な労働環境を生み出す要因(制度崩壊の要因)になっているともいえるわけです。
技能実習制度を深く理解し、快適な環境のもとで働けるように支援を惜しまない送り出し機関、監理団体、就労先の会社が沢山いらっしゃる中、一部が制度を悪用しようとする結果、このような大きな問題が生じるのはとても残念なことです。
特定技能ビザとの関係性
技能実習を良好に修了しているという要件を充足し、そのまま特定技能1号ビザへ移行することは実際多いです。
※なお、技能実習の対象となっていない「外食業」については、特定技能試験合格+N4以上という形で、留学生等が、そのまま特定技能ビザに変更をするケースしか想定されていません。
特定技能ビザにおいては、
- 職業紹介業者が関わっている場合には、申請時に、その際に支払った手数料を明示
- 定期報告において、賃金台帳の提示
- そもそも雇用契約において、同じ労働内容の日本人と同等以上の賃金を保証している
等、技能実習制度よりも、むしろ人件費のコストがかかることを前提としており、ブローカーの排除という点において、厳格に審査されている傾向があります。
このような状況からすると、特定技能への一本化という方向性が検討されるのは当然の流れとも言えますが、技能実習制度そのものにも本来、きちんとした意義があるわけです。
外交的な観点からの検討も必要となりますが、制度と実態がかけ離れている状況を、どのようにクリアにできるか。注視したいところです。