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外国人を美容師として雇用する方法

「美容師」という就労ビザは現在のところありません。しかし、東京都は、「国家戦略特区」を活用し、「特定活動」ビザという形で外国人の方が美容師として働ける制度を、本格的に稼働することを決定しました。

この制度を利用する場合には、

・自治体(東京都)から要件の確認を受けた「監理実施機関」
・育成機関(外国人を雇用する美容室など)
・外国人本人

それぞれについて、要件が充足されていることが必須です。

また、育成機関は、監理実施機関と連携して育成に当たる必要があります。したがって、監理実施機関との連携なしに、雇用をするだけで、ビザの申請が可能になるわけではないことに注意が必要です。

では、外国人本人の要件はどうなっているのか、以下、見てみましょう。

外国人本人の要件とは?

  • 美容師養成施設において美容に関する業務に従事するために必要な知識及び技能を修得し、成績優秀かつ素行が善良であること。
  • 美容に関する知識及び技能を高めようとする意思、及び帰国後、日本式の美容に関する技術・文化を世界へ発信する意思を有すること。
  • 特定美容活動を行うために必要な日本語の能力として、独立行政法人国際交流基金及び公益財団法人日本国際教育支援協会が主催する「日本語能力試験(JLPT)」のN2程度その他これと同等以上の能力を有すると認められること。
  • 特定美容活動への従事を開始する時点で満 18 歳以上であること。
  • 美容師免許を取得している者(第4の1に規定する育成計画の申請日時点においては、美容師免許を取得する見込みがある者)。

要件で注意すべき点は?

大きく3点が気になるところです。

①美容師養成施設において(中略)成績優秀かつ素行が善良であること

つまり、熱心に取り組み、成績が優秀な人でなければ、ビザを認めてもらえない可能性があるということになります。例えば、出席率がよくなく、成績がかんばしくない場合には、成績の部分はもちろん、素行の善良性という点でも、消極的(マイナス)に評価されうる可能性もあります。※素行の善良性は、通常、法令に違反していないなど、ごく普通の生活を送っていれば問題ないものですが、成績も含めて要件に含まれていますので、総合的な判断をされる可能性は否定できないと考えます。

②N2程度以上の日本語能力が必須であること

学校で日本語に関する授業が充実しているのであれば、その成績等をもって、証明することは可能かもしれませんが、実際のところは、難しい部分もあると感じます。

できれば、在学中に自ら日本語を勉強し、「N2」を早めに取得しておくのが確実な方法と言えるでしょう。

③美容師免許を取得している者(第4の1に規定する育成計画の申請日時点においては、美容師免許を取得する見込みがある者)

あくまでも、日本の美容師免許が条件です。

それ以外で特に注意すべき点

育成計画の認定を受ける際には、いくつかの要件を充たしている必要があります。その中でも、

①特定美容活動を行う外国人美容師の育成を行う美容所が明確となっており、育成人数を一の美容所当たり3人以内としていること。

②外国人美容師が、特定美容活動に日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。

という点は、特に注意が必要でしょう。

①つまり、一か所の美容室で、一度に4人以上を育成するということは認められておらず、3人が上限ということになります。

②これは、就労ビザにおける原則的な考え方と言えますが、外国籍であることのみを理由に、日本人よりも不当に給与を安く設定してはいけないということです。同一の業務に携わる日本人と同レベルの賃金保証が必須です。

要件や制度理解は大変な部分もありますが、美容師という仕事について、就労制限のない身分系ビザ(日配、永配、定住者、永住者)以外で、就労可能になるという点においては、大きな前進と言えるでしょう。

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