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不動産投資をすればビザが取れるという誤解
2022.4.16
経営・管理ビザについては、色々と、間違った風説が残っています。「経営・管理」ビザは、その昔、「投資・経営」という名称だったのですが、未だに、投資をする=日本の投資用物件を買ってしまえば、ビザが許可されると思っている方が一定数いらっしゃいます。
そもそも、ここで言う「投資」というのは、不動産への投資というような意味合いではなく、事業への投資という意味合いで使われていた言葉です。
長年、この分野を専門に行っていますが、「投資物件を2件ほど購入すれば、ビザは取れますか?」といった類の相談をされることがあります。
その文脈からすると、答えは基本的にNOです。
経営・管理ビザを取得する上で重要なのは、事業の継続性と安定性。
つまり、日本を拠点として継続的な不動産賃貸事業等を行うということならともかく、単に、不動産投資を行っているという事実と説明だけでは、ビザはほぼ不許可になるということです。
もしそれが許容されるのであれば、日本に投資物件を複数保有してさえいれば、簡単に経営・管理ビザが取れ、往来の自由を謳歌できるということになるわけです。しかし、実際のところそのようなことはありません。
もちろん、継続的な事業として、多数の自社物件の賃貸および管理を自社で行うということであれば話は別です。自社物件の賃貸、管理、売買、あるいは不動産仲介業を事業として継続的に行うということであれば、「経営・管理」の許可の可能性は高まります。
ただし、それはあくまでも、会社の事業としての継続性や安定性を認められた上での話です。不動産の投資は、本国にいながらでも可能ですし、管理も、日本の管理会社に委託すれば、それで済む話です。
一方で、日本の不動産への投資そのものがマイナスに評価されるわけではありません。例えば、貿易事業をメインとして事業を行う予定であるが、スタートアップ時の売上確保(家賃収入が見込める)、あるいは、事業資金が潤沢であるという観点から、疎明の補強材料にはなりえます。
経営・管理における事業の継続性・安定性は、資本金や資金繰り、売上の予測、従業員の有無、取引先(仕入先・販売先)の確保等、様々な観点から判断されます。
したがって、審査において有利に判断してもらうためには、事業に応じた事業計画書・売上予測の詳細、関連する添付資料などを緻密に積み上げて提出することが重要です。ボリュームのある申請書類に仕上がることが多いですが、ある意味ボリューム(量)も重要ないち要素と言ってもいいかもしれません。
申請の履歴(内容)は、入管にストックされていきます。安易に、不動産投資をすればビザが取れるという風説に基づいて申請し、不許可になってしまうようなことは避けるべきです。ビザの申請は、リカバリー可能ではありますが、このような申請履歴がかえってビザ取得のハードルを高めてしまうことにもなりかねませんので、注意が必要です。